監察医のドラマがあらたに始まりますが、そもそも監察医って何?監察医になるにはどうしたらいいの?法医学者との違いも知りたい!と思ったことありませんか?
今回の記事では、監察医になるにはどうすればいいのか、また法医学者との違いについてもわかりやすくまとめていこうと思います♪
監察医とは
監察医って言葉は聞いたことあるけど、実際どんなことしている人なのかはよくわからない、という人も多いかもしれませんね。
まずは、監察医とは一体どんな職業なのか、ということからまとめていきましょう。
監察医とは、自治体の知事によって任命された「行政解剖」を行う医者のことを言います。
監察医制度は1947年に導入され、現在では5都市(東京23区・横浜市・大阪市・名古屋市・神戸市)のみで運用制度が残っています。
行政解剖とは
行政解剖とは、死因ははっきりしないけれど、自宅での突然死などの犯罪性のない遺体の死因を解明するために行う解剖のことです。
その他、伝染病・中毒・災害による死亡の疑いがある遺体も行政解剖されることがあります。
ちなみに何らかの事件に関連していて、犯罪性の可能性があって死亡した場合は「司法解剖」がなされます。
監察医も法医学者の一種
何年か前、石原さとみさん主演の法医学ドラマ「アンナチュラル」が放送されたので、法医解剖医や法医学者という職業を知っている人は多いと思います。
法医学者とは、事件や事故などで死亡した人の遺体を解剖して鑑定する医師のことです。ドラマでもよく出てくる司法解剖ですね。
自治体の依頼によって行われる行政解剖とは違い、司法解剖は警察によって依頼されます。
ちなみに法医学者というと、司法解剖や行政解剖などで死因や死亡推定時刻を割り出したりするイメージが強いですが、DNA鑑定による親子鑑定などを行うのも法医学と呼ばれています。
監察医と法医学者との違いは?
監察医と法医学者との違いはそもそもありません。
前述した通り、監察医は法医学者のなかの一つのジャンルです。
正確には、法医学者のなかに法医解剖医がいて、そこから枝分かれして監察医がいる、ということになります。
監察医制度はない地域もあるため、そういった場合は大学の法医学脅威質が中心となり、監察医制度い準じた行為が行われています。
他の法医学者と監察医との大きな違い
法医学者と監察医、ジャンルとしては同じ法医解剖医なので「違い」という単語で説明すると少し違う気がするのですが、司法解剖と行政解剖の違いについて例を挙げておきます。
- 司法解剖と行政解剖の違いは、事件性があるかないか。(行政解剖は死因が不明な案件に加えて、伝染病や災害・中毒による死亡の疑いのある遺体の解剖も行う)
- 司法解剖の依頼は警察から、行政解剖の依頼は自治体から
- 司法解剖は刑事訴訟法に基づいて行われるが、行政解剖は死体解剖保存法(厚労省)に基づいて行われる
- 行政解剖を行うのは監察医だが、司法解剖は警察医などの臨床医家も行う(特に大学から離れた地域に多い)
監察医になるには?
- 大学医学部医学科に入る
- 医学部を卒業する
- 医師国家試験に合格し、医師免許を取得
- 医師免許取得後2年間は初期臨床研修を受ける(推奨)
- 法医学の大学院へ進学、卒業
- 死体解剖資格の取得
- 法医認定医資格を取得(4年間の法医学研修が必須)
- 監察医務院(東京・大阪)か兵庫県観察医務室に就職
監察医になるには、上記のような手順を踏んで地道に頑張らなければなりません。
また、このほかにも法医学教室での200例以上の法医解剖経験や5回以上の学会報告が必要となるそうです。
かなり大変な道のりですね。
監察医の給料は?
こんなに大変な思いをして憧れの監察医になれたとして、現実問題である「給料」はどれくらいなのか、気になるところですよね。
監察医の給料は、一般的なサラリーマンの年収と比べると高いのですが、臨床医と比べるとはるかに低くなっています。
医師の平均年収は約1500万円弱だそうです。
そして開業医の場合、平均年収は2500万円程度。
これより少ないって言っても1000万くらいはあるかな?と思いきや、監察医の平均年収は公務員とほぼ変わらないんだそう。
実際の千葉大学法医学教室の場合、准教授で800万、講師が700万、助教授が650万円とのこと。
開業医と約4倍の差があるってことですね。こりゃ確かに目指す人少なくてもしょうがないかもしれませんね。
サラリーマンよりは給料高くても、医学界のなかでは3K(くさい・危険・きつい)仕事と言われているのが監察医(法医学者全体)なんだそうです。
もっと給料高くてもいいのに・・・やはり相手が生身の人間ではなく遺体だからなんでしょうか・・・。
監察医を初めとする法医学者さんは、本当に仕事に熱意とやりがいを感じていないと続けられないお仕事と言えそうですね。
まとめ
というわけで、今回は監察医とはどんな職業なのか、法医学との違いは何なのか、また監察医になるにはどうしたらいいのかについてまとめてみました。
監察医とは、法医学者の一種で行政解剖を専門に行う医師のことでした。
監察医が行う行政解剖と法医学者が行う司法解剖の違いは
- 事件性の有無(有り=司法解剖、無し=行政解剖)
- 依頼元(行政解剖=自治体、司法解剖=警察)
- 法律の違い(行政解剖=死体解剖保存法、司法解剖=刑事訴訟法)
- 行政解剖を行うのは監察医のみ
- 司法解剖は警察医などの臨床医師も行う
ドラマなどで見ると華やかに見えますが、実際は3Kと言われるほど厳しい職業なんですね。
それなのにお給料は開業医の約1/4。
これからは高齢者も増えて在宅介護の需要も増えると思いますし、法医学者の出番も増えてくると思います。
今後のためにももっと法医学者の働く環境が良くなるといいなぁと思いますね。