平成という時代の終わりももうすぐですね。天皇は退位後、上皇になるとされています。では上皇とは何か。すぐ答えられますか?なかなか難しいですよね。上皇とは何かを簡単にわかりやすくまとめてみました。また、上皇になられたあとの天皇の敬称は何なのでしょうか。上皇とは何か。上皇の敬称は何か。すべてをまとめて簡単にわかりやすくまとめましたので、是非ご覧ください。
上皇とは何か
上皇(じょうこう)とは辞書によると、「天皇が位を退いてからの尊称。太上(だいじょう)天皇の略。下居(おりい)の帝。」と記されています。
皇室典範によって、天皇の終身在位が定められているため、上皇が誕生するのは約200年ぶりなのです。歴史上、最後に上皇が存在したのは、江戸時代の光格天皇です。
日本では約200年も生前退位は行われていませんでした。日本国民は、今現在のポストではなく、そのポストにいた人間にスポットを当てがちです。
しかし、ヨーロッパや隣国中国では「王様」を退任したら「人」になるのです。
日本国民のそのポストにいた人間にスポットを当てるという性質から、皇室典範が作られましたが、その規定を打ち破った今、上皇をどう捉えるのかが非常に重要になってくるのです。
上皇と天皇の違いを簡単にわかりやすく解説!
「天皇」とは、通常の天皇に付けられる呼称です。
ちなみに、明治天皇や昭和天皇のように、元号+天皇という呼び方は、その天皇が崩御(亡くなる)されてから贈られる称号です。従って、現在の天皇のことを平成天皇と呼ぶのは間違いです。お気を付けください。
「上皇」とは、太上天皇の略で、天皇の位を後継者に譲ったあとの天皇の称号です。
今までは、「天皇」とそれ以外の「皇族」と法的にもわけて考えられていましたが、「上皇」が誕生した後は、天皇と上皇は同等の位置づけにすると発表がありました。
その裏付けとして、上皇、上皇后は、天皇家と生計を同じくする「内廷皇族」とする方針で、生活費は内廷費として予算組されている3億2400万円の中から支出されます。
代が変わったあとの内廷皇族の人数は、今現在の5人で変わりないため、退位後も品格を保てるということです。
また、国会の議決の必要がない財産授与の限度額は、贈与年1800万円、譲り受け年600万円までとし、海外からの贈答品など、輸入物品の関税を免除するなども天皇と同様の待遇のままとなります。
皇宮警察の警備や、政府専用機の利用も、天皇や他の皇族と同様のままとなる見通しです。
わかりやすくまとめたものを記載しておきます。
★天皇と同様★
・葬儀は「大喪の礼」
・墓所は「陵」
・生活費は内廷費といって、天皇家と生計を同じにする
★天皇や皇族と同様★
・皇宮警察が警備を担う
・政府専用機を使用できる
★皇族と異なる点★
・再び天皇に戻ることはできない
・後で記載しますが、摂政、臨時代行、皇室会議議員に就くことができない
(ちなみに上皇后は摂政、臨時代行、皇室会議議員に就くことは可能です)
上皇には権力がある?何かするの?
法律上、上皇の活動範囲や内容については何の規定もありません。
陛下は退位後、象徴としてのすべての公務を皇太子さまに御譲りする考えを宮内庁に示されているということです。現天皇と皇太子さまの二重権威を避けるべく、今後宮内庁は検討していくとしています。
2018年4月、「象徴や権威の二重性の問題を回避する必要がある」と、政府の譲位有識者会議でまとまりました。
同年6月には、譲位後の称号は、「天皇」という語を含まない「上皇」ということで決定しています。
また、秋篠宮さまも2018年11月の誕生日の際に行われた会見で、「二重権威はあり得ない」と明言されました。
しかし、園遊会や宮中晩さん会などでは、多くの国民や外国関係者と懇談をします。
その際に陛下が上皇として出席されれば、視覚的に「二重権威」と見なされてしまいます。これを回避するために、上皇、上皇后になられた後、皇室の行事に出席されないことも検討していると宮内庁幹部が発表しています。
決定事項としては、問題となっている二重権威にならないよう、摂政、臨時代行、皇室会議議員には完全に就けなくなるようです。
上皇の敬称は何?
2017年3月に開かれた「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」で、上皇になった後の天皇の敬称は「陛下」にするのが妥当という意見でまとまりました。
また、皇后さまは「上皇后陛下」となるとのことです。
上皇のお住まいはどこ?
2017年12月に、天皇、皇后両陛下および皇太子ご一家のお住まいをそれぞれ入れ替えると宮内庁から発表がありました。
両陛下は現在お住みになられている皇居・御所(東京都千代田区千代田)から、東宮御所(東京都港区元赤坂)に転居します。
皇太子ご一家はその逆になります。御所と東宮御所は陛下の退位後に改修工事が始まります。
また、皇嗣となられる秋篠宮さまの宮邸も増改築する見通しで、陛下の退位後は皇居周辺で数々の工事が始まる見通しです。
両陛下が皇居・御所をまず離れ、高輪皇族邸(東京都港区、旧高松宮邸)で仮住まいをなされます。
皇太子ご一家は、御所の改修工事が完了するまでは、現在お住まいの東宮御所から皇居に通う形で公務に当たるということです。
御所の改修工事が完了し、皇太子ご一家が転居なされた後、東宮御所の改修工事が始まります。東宮御所の工事では、両陛下の高齢を考慮して、室内にエレベーターの新設が行われるということです。
東宮御所の改修工事が終了次第、両陛下は東宮御所に転居します。東宮御所は上皇、上皇后となられた両陛下が転居なさったあと、「仙洞(せんとう)御所」と呼ばれることになります。
「仙洞(せんとう)御所」とは、歴史的に上皇の御所を指す名前です。
両陛下の仮住まいになる旧高松宮邸ですが、陛下の叔父にあたる高松宮さまと高松宮妃喜久子さまの住まいでした。2004年に喜久子さまが亡くなってからは無人となっており、「高輪皇族邸」として宮内庁が管理しています。
この旧高松宮邸での生活期間は未定ですが、両陛下の年齢も考慮して、1年半以内には新居になる仙洞御所へ転居する見通しで、改修工事を進めるということです。
平成という時代に国民の象徴として数々の公務をされてきた天皇、皇后両陛下に、何故仮住まいを?!と思われるかもしれませんが、それは陛下と皇太子さまの強い意志だったようです。
上皇、上皇后となる両陛下に新しく住まいを建築するとなると、莫大な金額がかかります。皇位継承の費用を抑えるため、既存の施設を使用すべきだと陛下と皇太子さまが仰られたそうです。
また、両陛下は仮住まいに対して、「新天皇、皇后ができる限り早期に御所へ移居し、円滑に務めを開始することが望ましい」との考えを示しています。
では、赤坂東邸は機能していないのか?と思いませんか。実は、赤坂東邸は秋篠宮さまご一家のために改修工事が始まるのです。
秋篠宮さまご一家は、秋篠宮さまが皇太子とほぼ同等となる皇嗣となるため、現秋篠宮邸では手狭になる見通しです。それは賓客の接遇などの公務が増えるためです。
従って、秋篠宮邸と近隣にある赤坂東邸を一体化し、新宮邸として整備することが決まっています。これによって、赤坂東邸は両陛下の仮住まいの候補から外れました。
まとめ
両陛下のあの笑顔を見られる機会がなくなってしまうのかと思うと少し寂しい気もしますが、新天皇を影ながら支えてくれる存在になられるのでしょうね。
とても心優しい両陛下。いつまでもお元気で居ていただきたいですね。